はじめに
「マダイが赤くなる理由とは?」では、マダイの体色が持つ意味について触れました。春から初夏にかけては、その体色が普段以上に鮮やかになる「ノッコミ」と呼ばれる時期にあたります。本記事では、このノッコミ期のマダイの生態と、味わいの変化について整理します。
「ノッコミ」とは何か
産卵のために浅場へ移動する行動
ノッコミとは、マダイが産卵のために沖の深場から沿岸の浅場へ移動してくる行動を指します。水温が上昇し始める春から初夏にかけて見られる、季節を象徴する行動のひとつです。
婚姻色で「桜鯛」と呼ばれる
この時期のマダイは、体色がより鮮やかなピンク〜赤色に変化することがあり、「桜鯛」という名前で呼ばれることもあります。桜の咲く季節と重なることに加え、体色の美しさから付けられた呼び名です。
ノッコミ期のマダイは「美味しい」のか
産卵に向けたエネルギー蓄積
ノッコミ期のマダイは、産卵に向けて体内にエネルギーを蓄えている個体が多く、個体によって脂のりや身質に差が出やすいのが特徴です。すべての個体が一様に「脂がのって美味しい」というわけではなく、個体差・釣れたタイミングによるばらつきが大きい時期と言えます。
「旬」としての価値
味覚的な側面に加えて、桜鯛は季節の風物詩としての価値も大きい魚です。鮮やかな体色と春の訪れを感じさせる見た目の美しさから、料理としても「春らしさ」を演出する食材として親しまれてきました。
養殖と天然の味の違いについては「釣り堀の魚と天然魚は味が違うのか?」でも解説しています。
産卵後は「麦わら鯛」と呼ばれる時期に
ノッコミ・産卵を終えた後のマダイは、エネルギーを使い果たして身が痩せた状態になりやすく、「麦わら鯛」と呼ばれ、味の評価が下がる時期に入ります。同じマダイでも、季節によって味わいが大きく変わることが分かります。
釣り堀での楽しみ方
海上釣り堀で釣れるマダイは養殖個体が中心のため、天然のノッコミ鯛ほど季節差は大きくありませんが、春先は活性が上がりやすく、釣果につながりやすい時期でもあります。釣れたマダイをその日のうちに正しく処理することで、季節を問わず美味しく味わうことができます。
調理法については「真鯛の捌き方と調理法」を参考にしてください。
まとめ
5月前後のマダイは、産卵のために浅場へ移動する「ノッコミ」の時期にあたり、鮮やかな体色から「桜鯛」とも呼ばれます。味わいには個体差がありますが、季節を感じさせる見た目の美しさと「旬」としての価値が、この時期のマダイが特別視される大きな理由です。釣り堀で出会えたら、季節の恵みとしてぜひ味わってみてください。