· 魚種別攻略  · 17 min read

【中級】クエ攻略:匂いで寄せる!カツオの血身とサンマのぶつ切り活用法

なぜクエには「視覚より嗅覚」が有効なのか

海上釣り堀で一日に一本出るか出ないかの幻の高級魚・クエ。底にどっしりと居座るクエは、マダイのように積極的に回遊せず、エサが自分のテリトリーに来るまで待つ「待ち伏せ型」の捕食スタイルをとります。

クエの嗅覚は魚類の中でも特に優れており、水中に溶け込んだアミノ酸・核酸・脂質成分を数メートル先から感知できるとされています。一方、視覚については底の暗い環境を好むクエは、鮮やかな色よりも「存在感のある匂い」に強く反応します。

中級者がクエを攻略するための合言葉、それは「視覚よりも嗅覚(匂い)」です。カツオの血身やサンマのぶつ切りが持つ強烈な匂い成分を「呼び水」として使い、数メートル先のクエを仕掛けまで誘導する戦略を身につけましょう。


カツオの「血身(血合い)」による強力な集魚

血合いが持つ集魚効果の科学

カツオの血合い(血液に富んだ暗赤色の筋肉)には、ヘモグロビン・ミオグロビン・各種アミノ酸(アラニン・グリシン・グルタミン酸)が豊富に含まれています。これらは水に溶けやすく、水中に「匂いのカーテン」を素早く形成します。

クエは底付近の水流の変化や匂い成分の濃度勾配を側線と嗅覚で感知し、匂いの発生源へと移動します。カツオの血合いを使うと、エサを投入してから3〜5分以内に匂いがクエのテリトリーに届き始めます。

血身エサの準備と使い方

準備方法手順効果の持続時間
切り身そのまま血合い部分を2〜3cm角に切る15〜20分
押しつぶし法針を刺す際に少し身を押しつぶしてエキスを出す25〜30分
塩蔵血合い前日に軽く塩をして水分を出す40〜50分(エキスが凝縮)
  1. 下準備:カツオの切り身の血合い(黒っぽい部分)を選び、2〜3cm角に切る
  2. 針を刺す:血合いの中心に針を通し、針先が少し出る程度にする
  3. エキスを出す:投入直前に人差し指と親指で軽く押さえ、エキスが染み出すようにする
  4. 投入:エキスが水中に広がり始める最初の5〜10分がゴールデンタイム

サンマの「ぶつ切り」による持続的なアピール

カツオとサンマの役割の違い

カツオが「瞬間的な呼び寄せ」なら、サンマは「持続的な食わせ」のエサです。サンマは魚油(EPA・DHAを含む脂質)が非常に豊富で、水中でゆっくりと溶け出し、長時間にわたって匂いを発し続けます。

エサ主な成分匂いの広がり方効果時間
カツオ血合いヘモグロビン・アミノ酸速く広がる15〜30分
サンマぶつ切り魚油・脂質ゆっくり広がる40〜60分
サンマ内臓入り消化酵素・脂質最も強烈60分以上

サンマぶつ切りの刺し方

  1. 三枚おろし縫い刺し:サンマの切り身を細長く切り(幅1cm・長さ4〜5cm)、ひらひらと動くように縫い刺しにする
  2. 内臓の活用:サンマの内臓を少し残した状態で針に刺すと、脂と消化酵素の匂いが相まってクエにとって抗いがたい誘惑となる
  3. 鮮度の確認:サンマは鮮度が落ちると水分が増えて匂いが薄れる。釣行前日に購入した鮮度の良いものを使うこと

「匂いの溜まり場」を予測する

イケス内の水流を読む

イケスの中には常に一定の水流があります(換水ポンプや潮の影響)。匂いは潮下(しおかじ:水流の下手側)へと流れていきます。

  1. まず水面に小さな木片やゴミが流れている方向を観察する
  2. 水流が向かう方向(潮下)の角や網のたるみが匂いの吹き溜まり
  3. クエはそのような「匂いが集まる場所」を感知して移動する

仕掛けの投入ポイント選定

状況別の狙いポイント:

水流がある時:
  → 投入点をクエのいる場所より「潮上1〜2m」に置く
  → 匂いが水流に乗ってクエの鼻先に届く

水流がない時(静水):
  → 匂いは拡散するためイケス全体に届く
  → クエが居着く網の四隅・コーナーを直接狙う

底が読める時(前回のアタリ場所が分かる):
  → 前回のアタリ場所の「50cm以内」を狙う
  → クエは同じテリトリーに戻る習性がある

季節別の匂い戦略:水温とクエの嗅覚変化

水温別の最適な匂いエサ

水温帯クエの嗅覚感度推奨エサ匂いの出し方
10〜15℃(冬)低い(代謝落ちる)サンマ内臓入り(最強匂い)釣行前日に切って一晩寝かせる(熟成)
15〜20℃(春・秋)標準カツオ血合い+サンマ交互標準的な使い方
20〜25℃(初夏・初秋)高いカツオ血合い(鮮度重視)投入直前に切り立ての新鮮なものを使う
25℃以上(真夏)非常に高い(早朝)サンマ(常温・早く匂い出す)早朝の1〜2時間に集中

冬季の低水温時は匂いの溶け出しが遅いため、前日から切って置いた「熟成エサ」が溶け出しを早める有効な手段です。

複数エサの「重ね投入」戦略

上級者はクエを呼ぶために「撒き」と「本命」を区別します。

  1. 第1投(撒きエサ):カツオの血合いを2〜3片、直接イケスの底に撒く(針は付けない)
  2. 第2投(本命):撒きエサの匂いがある場所に、サンマのぶつ切りを針付きで投入
  3. 30分静置:撒きエサの匂いに釣られたクエが本命エサに口を使う

「撒きエサ」の考え方は磯釣りから応用した技術で、海上釣り堀のクエにも有効なことが多いです。


クエ中級者のための仕掛け最適化

クエ専用仕掛けの構成

パーツ推奨スペック理由
竿4m以上・磯竿3〜4号大型の引きに耐える強度・胴の粘り
ハリスフロロカーボン10〜14号×60cm岩礁や網への擦れに耐える強度
クエ専用16〜18号大きな口に確実に掛ける
オモリ8〜12号(底べたにする重さ)クエが好む底に仕掛けを固定
チューブ補強針の結び目に5cm強引なファイト中のハリス保護

よくある失敗と対策(FAQ)

Q:血合いエサを投入しても全くアタリが出ない → クエが底の別の場所に居着いている可能性。まず仕掛けを投入する場所を網の四隅や底網のたるみ付近に変える。場所を変えて15分反応がなければ次のポイントへ移動する。

Q:エサが3〜5分で取られてしまう(クエ以外が食っている) → マダイや青物がエサを横取りしている状態。エサの大きさを大きく(5cm角以上)して小型魚に取られにくくする。または沈下速度を速める(オモリを重くする)ことでエサを素早く底に届ける。

Q:サンマが水中でバラけてしまう(針から外れる) → 縫い刺しが浅い。針をエサの端から端まで2〜3か所通す「本縫い刺し」にする。また冷凍サンマを解凍しすぎると身が崩れやすくなるため、半解凍状態(中心が少し凍っている)で使うのがコツ。

Q:クエがエサに近づいているはずなのに針に乗らない → 前アタリ(コツコツという感触)の段階で合わせを入れてしまっている可能性。クエは「噛む→確認→飲み込む」の3段階行動をとるため、穂先が「グーッ」と深く入るまで待つ必要がある。

Q:匂いエサで他の魚(マダイや青物)が先に食ってしまう → 匂いはイケス全体の魚を呼び寄せるため避けられない。対策として①オモリを重くして仕掛けを底にしっかり固定しクエのいる底層だけを狙う、②タナを底からほぼゼロにする(マダイは少し浮く傾向がある)。

Q:クエはいつ頃が最もよく釣れるシーズンか → 海上釣り堀のクエは年間を通じて釣れるが、最も活性が高いのは水温20〜23℃の春(4〜6月)と秋(9〜11月)。冬は低活性で忍耐が必要だが、体力充実の大型個体が出やすい。夏は早朝のみ狙えることが多い。

Q:クエを釣り上げた後のランディングで怪我をした(大型の場合) → 5kg超のクエは生命力が非常に強く、タモ内でも暴れる。取り込んだ後はすぐに濡れたタオルで目を覆って(暗くすると落ち着く)、頭を押さえて固定する。クエのエラカバーは鋭いため、素手でエラを持たないよう注意が必要。

Q:サンマ内臓入りのエサを作ると手が臭くなって辛い → ニトリルゴム手袋(薄手の使い捨て手袋)を使うと手が汚れずに済む。100均でも購入できるため釣行の必需品にする。またウェットティッシュと消臭スプレーも合わせて持参すると快適。臭いは釣りへの情熱の証と思って、割り切ることも大切。

Q:釣行終了時に使いきれなかった匂いエサはどうすればよいか → カツオの血合いは翌日まで冷蔵保存可能(色が変わっても匂いは出る)。サンマは3〜4日なら冷蔵で使える。長期保存なら冷凍(1ヶ月程度)が可能。匂いエサは廃棄せず再利用することでコストも節約できる。


まとめ:ターゲットの鼻をハックする

クエ攻略の中級ポイントは3つです。

  1. カツオの血合い(血身)を押しつぶしてエキスを出し、匂いのカーテンで3〜5m先のクエを誘導する
  2. サンマの内臓入りぶつ切りで持続的な匂いアピールを60分以上維持する
  3. 水流の潮下にあるイケスの角・網のたるみを「匂いの吹き溜まり」として狙い撃つ
  4. 季節(水温)に応じてカツオ(高水温期の鮮度重視)とサンマ(低水温期の熟成重視)を使い分ける
  5. 撒きエサ(血合い直置き)と本命エサ(サンマ針付き)の役割を分けることで「呼び寄せ→食わせ」の二段階作戦を実現する
  6. 釣り上げた後は濡れタオルで目を覆って鎮静化させ、クエのエラカバーによる怪我を防ぐ安全な取り込みを徹底する

釣り人の情熱とクエの雄大さが出会う瞬間——準備と忍耐の全てが報われる一匹を、匂いの戦略で手繰り寄せてください。

カツオの血液、サンマの脂を戦略的に使い分けることで、沈黙を守り続ける巨漢をあなたの仕掛けへと引き寄せることができます。


クエを狙う心構え: クエ釣りは釣れた時の喜びが最大の魚種ですが、最も「待つ覚悟」が必要な魚でもあります。1〜2時間全くアタリがなくても諦めず、「今まさに匂いに引き寄せられているクエがいる」という信念を持って静置し続けることが釣果につながります。海上釣り堀の中でも特別な一匹を求める旅に、匂いの戦略を武器に挑んでください。

エサの持参量の目安: カツオの血合いは1回の釣行で50〜100g程度(切り身3〜4切れ)、サンマは1尾(ぶつ切りで15〜20片)が半日分の目安。少なすぎると交換できなくなるため、多めに準備することを推奨。釣具店や鮮魚店で前日購入し、密封袋で冷蔵保存して当日持参する。

待ちの価値: クエ1匹を釣り上げるための「待機時間」は他の魚種の数倍。この待ち時間を「無駄」と感じるか「戦略の一部」と感じるかが、クエ釣りを続けられるかどうかを決める。1時間の沈黙の後に出る前アタリの「コツコツ」は、待った時間の全てを報いる瞬間です。


➡️ さらに詳しく:【上級】網のたるみ・隙間へのピンポイントアプローチ:居着きの主を引きずり出す

Back to Blog