冬の味覚の王様、クエ(モロコ)。市場価格はキロ数万円にもなる超高級魚です。磯釣りや船釣りでは一晩中粘っても出会える保証のない「幻の魚」ですが、海上釣り堀なら高確率で出会うことができます。
しかし、「出会える」のと「釣れる」のは別問題。クエは海上釣り堀の中でも屈指の難易度を誇るターゲットです。かけた瞬間の強烈な突っ込み、一瞬で根に潜る狡猾さ。
この記事では、そんなクエを確実に仕留めるための、タックル選びから実釣テクニックまでを徹底解説します。ボウズ覚悟でロマンを追い求める、あなたへの挑戦状です。
クエの生態と習性:根に執着する怪力
クエ攻略の第一歩は、その特異な習性を理解することです。
住処(すみか):基本は「暗がり」と「底」
クエは警戒心が強く、常に身を隠せる場所を探しています。
- イケスの四隅(コーナー)
- ネットの継ぎ目のたるみ
- 底の障害物周り
これらが彼らの定位置です。中層を泳ぎ回ることはまずありません。

食性:待ち伏せ型のスナイパー
回遊してエサを追うのではなく、目の前を通ったエサを一瞬で吸い込みます。そのため、ポイント(エサの場所)が数センチずれるだけで食ってきません。
究極のパワー:「ダンプカー」のトルク
ヒットした瞬間、全身の筋肉を使って住処(根)に戻ろうとします。その重量感ある引きは「ダンプカーのようなトルク」と表現されます。初期対応が遅れると、一瞬でネットに潜られてジ・エンドです。
クエを獲るための剛腕タックル
「マダイ釣りのついで」では絶対に獲れません。クエ専用、あるいは青物用最強クラスの装備が必要です。
ロッド:根に入らせないための硬調ロッド
竿先が入りすぎると、その分魚に走る隙を与えます。
- 海上釣り堀用のH(ヘビー)クラス
- 短めの船竿(泳がせ用)
これらを使用し、ヒットした瞬間に竿のバットパワーで魚を浮かせられるものを選びましょう。
リール & ライン:根ズレ対策が全て
- リール: パワーギア(PG)のスピニング、または両軸リール。
- PEライン: 最低5号以上。
- リーダー: フロロカーボンの10号〜14号。
ここがポイントですが、クエ狙いの場合、リーダーは長めに(2ヒロ以上)取ること推奨します。ネット際で擦れる可能性が高いためです。
ワイヤーハリスを使う人もいますが、食い渋るため、フロロの太糸が主流です。
クエが好む必殺エサ
クエはグルメです。新鮮で存在感のあるエサを好みます。
活きエサ:アピール力 No.1
- 大きめのウグイ(銀兵): 生命力が強く、底でよく動くためクエの捕食本能を刺激します。
- 活きアジ: 定番ですが、青物が先に食ってくるリスクも。
冷凍エサ:匂いで寄せる
- カツオの切り身: 血なまぐさい匂いがクエを誘います。皮付きのまま大きめに付けるのがコツ。
- イカの短冊: 白い色は暗い底で目立ちます。エサ持ちも良いので、じっくり待つのに向いています。
- サンマ: 脂の乗りが良く、集魚効果が高いです。
エサの大きさ:「一口サイズ」はNG
クエの口は巨大です。小さいエサは見向きもしないことがあります。「こんなに大きくて大丈夫?」と思うくらいのサイズ(切り身なら10cm以上)でアピールしましょう。
実釣テクニック:底を制する者はクエを制す
棚(タナ)取りのシビアさ:デッド・オア・アライブ
クエ釣りにおいてタナ取りは命です。
- しっかりと底を取ります。
- そこから10cm〜30cmだけ切ります。
これが「クエの視界に入り、かつ根掛かりを最小限に抑える」黄金のタナです。50cm上げると食わず、底ベタだと根掛かりします。

アタリの見極め:前アタリがあっても待て
「コツン、コツン」という前アタリがあっても、絶対に合わせないでください。これはクエがエサを咥えて様子を見ている合図です。
竿先が「ズドーン!」と海中に突き刺さるまで待つ。これが鉄則です。
フッキングからファイト:最初の3秒が勝負
竿が入ったら、鬼合わせを入れます。そして、リールを巻けるだけ全力で巻きます。
- ロッドを立てて、底から引き剥がすイメージで。
- ドラグはフルロック(ガチガチ)に近い設定で。糸を出したら負けです。
- 3mほど底から切れれば、勝率はグッと上がります。あとは重みに耐えながらゆっくり上げればOKです。
もし根に潜られたら…
無理に引っ張るとラインブレイクします。
- ラインを完全に緩める(ベールを返す)。
- 数分放置する。
クエが油断して根から出てくるのを待ちます。運が良ければ動き出します。
クエが放流されているおすすめ海上釣り堀
一般的にクエ放流は冬場のイベント限定が多いですが、常時狙える施設もあります。
兵庫県「釣堀水宝」
通年放流されているが、メインは12~2月に脂が乗ったタイミング。

高知県「幸丸」
12~1月に限定放流。釣り放題プランなのでコスパ最高!

その他の狙い目
- 多くの施設で「年末年始」「冬の大型放流」としてクエが入ることがあります。
- クエは一度放流されると、釣られるまでイケスに残り続ける(居残り)ことが多いです。放流イベントの翌週なども、実は狙い目です。
釣り上げたクエを美味しく食べる
熟成の魔法
釣りたてのクエは身が硬く、旨味も少ないです。
内臓・エラを取り除き、キッチンペーパーとラップで包んで冷蔵庫へ。最低3日、できれば1週間寝かせてください。身が乳白色になり、脂が回ってくると最高の味になります。
絶品料理
- クエ鍋: 正直、これに勝る鍋はありません。皮のプルプルとしたゼラチン質と、濃厚な出汁は絶品。
- 刺身(薄造り): 熟成させた身は、フグのような食感と上品な甘みがあります。
まとめ:粘りと根性で幻を手にする
クエ釣りは「待つ釣り」です。周りがマダイや青物を釣っていても、じっと我慢して底を狙い続ける精神力が必要です。ボウズのリスクは高いですが、その先にある「幻の高級魚を手にする感動」は、釣り人にしか味わえない特権です。
この冬は、一発大物狙いにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
