「釣りに行けない時期」は「釣りの上達が最も進む時期」
冬場、釣行の頻度は確実に減ります。気温の低下、悪天候、そして何より「釣りに行く気力」が減退するこの季節……。
多くの一般釣り人は「オフシーズン」だと考えてしまいます。
しかし、釣り界のトップクラス・達人たちは違う視点を持っています。彼らにとって冬とは、年間で最も「釣り技術が上達する黄金期」なのです。
では具体的に、達人たちは冬の間、何をしているのか。本記事では、釣り上手な人たちの冬の過ごし方から、誰でも実践できる「釣り上達戦略」を解き明かします。
達人の冬の過ごし方5パターン
パターン1|理論学習と知識の深掘り(全達人共通)
何をしているのか?
冬の達人たちは、釣り関連の書籍・論文・データを徹底的に読み込みます。
- 魚の生態に関する書籍:イサキ、マダイ、青物の詳細な生態
- 潮流・水温に関する海洋学の知識:気象データの読み方
- 仕掛け・理論に関する専門書:「ウキ」「ハリ」の物理的な特性
最新の釣り雑誌(つり情報など)も、冬場に完全に読み込む人が多いです。
なぜ効果的か
冬場に学んだ理論は、春~秋の釣行で確認される形で「体験学習」に変わります。知識+経験のループが完成するのです。
初心者でも実践できることリスト
- 釣り雑誌の通年購読開始
- YouTubeの釣り理論系チャンネルを「見放題モード」で学習
- 釣りブログの「手を動かしながら」読む習慣
- 魚の生態図鑑を1冊完読
釣り雑誌のバックナンバーを読み漁るのがお手軽です。Amazonプライム会員なら、Kindleに無料で雑誌が読める枠もあります。そこに釣り雑誌があったりします。
魚釣りの情報でアップデートされるのは釣具くらい。魚の釣り方は知識で学べるので、過去でもいいから雑誌や書物を読むのは有効な手段です。
パターン2|「家でできる仕掛け練習」への没入
何をしているのか?
達人たちは家の中で、以下の練習を繰り返します。
結びの練習
- ユニノット、電車結び、8の字結びを何十回も繰り返す
- 暗い中での結びまで完璧にする(本番の夜間釣行に備えて)
仕掛け組立の高速化
- 理想は「目をつぶってでも組める」レベル
- 釣り場でトラブルが起きた際の対応時間短縮
ドラグ調整の習熟
- リール+ロッドでドラグの感触を研究
- 「気温によるドラグ変化」を読む力を養う
実際の効果
現地でのトラブル時間がほぼゼロになり、その分を釣りに充てられるようになります。1日の釣行で20分~30分の時間短縮は珍しくありません。
家でできる練習セット(初心者向け)
- 練習用ライン&ハリ:購入してストック
- スマートフォンでタイマー:結びのタイムを計測
- 全長3m程度の小型ロッド:家での感度練習用
費用は合計で2,000円程度。これが「釣り上達の投資」になります。
パターン3|「釣り動画」の完全学習モード
何をしているのか?
達人たちが冬に見る動画は、以下の2種類です:
① 理論系動画
- 魚の食わせ方の物理的解説
- 潮の読み方・水温と魚の関係
- タックル構成の理由
② 実釣系動画
- 有名釣り人の釣行動画を「何度も繰り返し見る」
- 同じシーンを10回以上見ることで、細部が見える化
「見放題」の使い方(上達のコツ)
単に眺めるのではなく、
- 1回目:全体を流す(大まかな流れを把握)
- 2回目:仕掛けに注目(どんな構成か)
- 3回目:魚の行動に注目(どこからアプローチしているか)
- 4回目:「もし自分なら」と置き換えて見る
この「多角的視点での繰り返し」が、理論を実践に変えるプロセスです。
おすすめ学習チャンネル
- YouTubeで「海上釣り堀」を検索する(施設ごと、魚種別)
- 釣り理論系チャンネル(気象・潮・物理)
- SNS映え系チャンネル(観光×釣りの組み立て方)
YouTubeやSNSでは、個人の発信者が有益な情報を提供しています。釣りに行けない時間に見ると、行きたくなってしまう誘惑に駆られますが、「なぜこの人は釣れるのか?」と疑問をもつことが上達への一歩です。
パターン4|「次シーズンの装備投資」と研究
何をしているのか>
冬場は「釣具の買い替え・新調」の最適シーズンです。達人たちは釣具の情報も集めています。
- 新作ロッドの研究:カタログスペック × 実際の評判を比較
- 素材・構成の徹底分析:「なぜこのロッドはこの値段か」を理解
- 自分のスタイルに合った道具の選定:データドリブンな購入判断
なぜ冬なのか
- メーカーの新作情報が豊富(春向け商品の発表)
- 釣具屋のセール期間(1月~2月は在庫処分セール)
- 時間があるので「じっくり研究」できる
通年1月にフィッシングショーがあり、そこで各メーカーが新作発表・展示会をします。横浜など関東圏がもっとも早く公開され、初夏にかけて全国の都市部で展示会が開催されています。
新製品をどこよりも早く触れれるチャンスですし、会場で実物を見るからこそ、どのように使うのかを想像しやすくなります。
初心者向けの「装備研究フロー」
- 自分が狙う魚種の「理想的なロッド」を3本リストアップ
- YouTubeでその3本の比較動画を探す
- 釣具屋で実際に握ってみる
- 口コミサイトで「実際の評価」を確認
- 購入タイミングを決める
この流れで、「失敗しない道具選び」が実現します。
パターン5|「冬釣行」そのもので経験を積む
何をしているのか?
全国各地に遠征し、冬限定の釣行を経験します。
- 太平洋側の温暖施設への遠征
- 沖縄での冬釣り
- 瀬戸内海の穏やかな環境での実験的釣法
なぜ効果的か
冬の釣行1回 = 春~秋の釣行3回分の学習効果と言われます。理由は━━
- 釣れない時期の工夫が、春~秋の「自動的に釣れる」環境での経験より価値がある
- 冬に培った「魚の読み方」は、他の季節でも応用が効く
- 遠征先での新しい施設・人間関係が、ネットワークの拡大につながる
冬の低水温下は魚釣り自体が難しくなります。でも釣れないわけじゃなく、魚に合わせた攻略と気候を読む力さえあれば、パターン化して安定した釣果をあげる人もいます。
釣れないではなく、釣れにくい。釣れない可能性がゼロでない限り、テクニックでなんとかしようとすることが、何事も上達の近道となります。
冬の釣り欲を満たす「家庭練習キット」
冬の間、釣行回数が減る人向けに、家の中で釣り欲を満たすセットアップをご紹介します。
最小限セット(費用2,000円程度)
- スマートフォン(YouTube視聴用)
- 釣り練習用ライン&ハリ
- ドラグ調整用のシンプルリール
スマホの価格は別に考えてもらうとして……。
練習用のラインはリールに巻いていた古いのを取っておくといいです。ハリはノットで結んで接着剤で固着しない限り使えます。特にPEラインを使う人は、ノットの練習をしておくといいでしょう。
YouTubeなりウェブで検索すれば、実戦動画や説明画像も多くあります。
中程度セット(費用5,000円程度)
- 上記に加えて、小型ロッド(バルサ材・自作可能)
- 釣り雑誌の年間購読
- 釣り理論本3冊程度
本格的セット(費用10,000円~)
- 実釣用と同じスペックのロッド・リール
- 動画教材(ラインメーカーがよく出している)
- オンライン講座(釣り系スクール)
仕掛け作成はラインやハリを製造・販売しているメーカーが、公式サイトやYouTubeで提供しています。文字で説明するよりも、映像のほうが何倍もわかりやすく伝わりやすいですよね。
釣り系スクールはSNSで探せばあるかもしれません。もし凄腕の人をフォローしているのであれば、このタイミングで「ご教授してくれませんか?」などアクションを起こしてみるのも有りでしょう。
冬のマインドセット|「オフ」ではなく「インテンシブ・トレーニング期」
達人たちが冬を過ごす際に大切にしている考え方。それは━━
「冬は釣りに行けない時期」ではなく、「釣り技術を集中的に高める黄金期」
この認識の違いが、春~秋の釣果の差として如実に表れます。
あなたも達人になる冬の過ごし方チェックリスト
冬に実践すると、春からの釣果が変わるリスト:
- 釣り雑誌を最低1冊完読
- 理論系YouTube動画を10本以上視聴+メモ
- 仕掛け結びの練習を最低50回実施
- 釣具屋で「自分の装備」を研究
- 冬釣行を最低1回実行
- 釣り人との情報交換(SNS・ブログ・釣具屋で)
5つ以上達成すれば、春の釣果は確実に変わります。
まとめ:オフシーズンこそ基礎を磨くべき
冬の海上釣り堀は「釣りに行けない季節」ではなく、「最も釣り技術が向上する季節」です。
達人たちが冬の間に積む「理論学習」「技術練習」「経験の深掘り」が、春~秋の釣果を大きく左右します。
冬を活かす人と活かさない人では、年間の釣果で10倍以上の差が生まれることもあります。
本記事の内容を参考に、あなたも「冬を味方につける釣り人」に進化してください。

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