海上釣り堀とは、海上に設置されている生け簀(いけす)で行う釣りのことです。
生け簀にはマダイやブリなどの高級魚や大型魚が入っており、釣り初心者でも確実に魚がいる環境で、大物釣りを体験することができます。
釣り堀施設として道具のレンタルやサポート体制も整っているため、釣り道具を持たずに訪れることができるので、家族連れや観光客にも人気があります。
本ガイドでは、料金や準備、釣り方、安全面までを一通り解説し、初めての方でも安心してデビューできるよう丁寧に紹介します。
海上釣り堀とは? 〜海の上の“体験型レジャー”〜
海上釣り堀は、海上に浮かぶ生け簀で養殖魚を釣る施設のことです。
釣れる魚は、マダイ・ブリ・カンパチ・シマアジなど、普通の海釣りではなかなか狙えない大物が中心。天然の海と違って、「魚が必ずいる」という安心感があり、初心者でも高確率で釣果を得られるのが最大の魅力です。
海上にある施設ですが、生け簀は固定されており、足場も安定しています。トイレ完備な施設がほとんどですし、屋根付きで日除け対策もしている施設もあったりと、子どもや女性でも安全に楽しめます。
料金と利用システムの基本
一般的な料金相場
施設によって違いはありますが、標準的な相場は以下のとおりです。
| 利用者区分 | 1日利用の平均料金 | 特徴 |
|---|---|---|
| 男性(一般) | 10,000〜13,000円 | 放流魚を釣り放題。青物も狙える |
| 女性・中学生 | 7,000〜10,000円 | 初心者・観光客向けコースあり |
| 小学生以下 | 5,000〜7,000円 | 短時間コースや保証付きプランが多い |
基本料金は釣り場利用料や魚の放流代が含まれます。料金システムは大きく分けて2種類あり、「釣り放題」と「買取方式」があります。
釣り放題で釣った魚は、基本的にすべて持ち帰り可能。買取方式は釣った魚を持ち帰りたい場合、魚1匹当たりの重量に料金がかかる仕組みです。
施設によっては、「釣れなくてもマダイ1匹保証」といった安心制度もあります。
予約と当日の流れ
- 事前予約(電話またはネット)
土日祝は混雑するため、できれば1〜2週間前の予約がおすすめです。連休時だったり団体予約をするなら1ヶ月以上前が理想です。 - 受付・料金支払い
当日朝に現地で受付。夜明け(AM5~7時の間)に設定している施設が多いです。道具のレンタルやライフジャケット貸出もここで行います。 - 釣り座選び
抽選または受付順で釣り座は指定されます。施設によって潮通しが良く人気の場所とか、常連御用達みたいな席もありますが、微々たる差なので気にしなくてもいいです。 - 釣り開始
スタッフの合図で釣りをスタートします。分からないことがあれば、近くのスタッフなり隣の方に質問するといいでしょう。 - 放流タイム
放流タイムは施設によってタイミングや回数が違います。朝と昼の2回が多いですね。放流直後の魚はエサを食べやすいので、釣り上げるチャンスです。 - 終了・精算
終了時間は決められています。ギリギリまで粘ると片付けで遅れてしまうので、1時間前から締めの準備をしておきましょう。釣れた魚を下処理してくれるサービスもあります。この場合は終了直前に依頼するパターンが多いです。
海上釣り堀で必要な準備と持ち物
釣具を持たない人でも、海上釣堀に持っていったほうがいい持ち物があります。この項目で紹介するのは、レンタル品で扱ってない物もあるため、事前準備しておかないと、現地で苦労することになります。
しっかり事前に用意しておいて、忘れないようにしましょう。
必須アイテム
- タオル:魚や手を拭くため複数枚あると便利。暑い時期は汗を拭くために必要ですし、怪我した時の包帯代わりや固定に使えます。
- クーラーボックス+氷:発泡スチロールと氷は販売している施設がほとんど。もしコスト削減をしたいなら持参してもいいですが、1m近い大型魚を入れる想定を忘れないように。
- 長靴または防水サンダル:海上の生け簀なので、時に波しぶきで足元が濡れることもあります。魚を釣り上げた時に靴が濡れたり、血が飛んだりして良い靴が汚れることもあるので、長靴など他の物を使うといいでしょう。
- 帽子・日焼け止め:海上は反射が強く日差しがきついです。なるべく肌を出さないようにして、サングラスで目を守ることも忘れないように。
- 雨具:海上は急な天候変化をしてもすぐに退避できません。コンビニで売っている携帯可能なレインコートなりポンチョをバッグに入れておくと安心です。折りたたみ傘は風が強いと役立たずなので避けたほうがいいです。
レンタルできるもの
多くの施設では、竿・リール・仕掛け・エサをまとめてレンタル可能です。相場は1セット2,000〜3,000円くらい。
その施設で扱っているレンタル竿・リールですから、その施設で釣れる魚に対応しているはずなので、安心です。
レンタル品を毎回頼むのはコスパが悪いのでは?……と思う方もいるでしょう。すでに釣具がある人でも、大型魚に対応している物があればいいのですが、ブリに耐える道具を揃えるとけっこう出費になります。
もしレンタルではなく持参の釣具にしたいなら、2ヶ月に1回以上の釣行をしたいなら、レンタルよりも海上釣り堀用のタックルを揃えたほうがコスパは良くなります。
海上釣り堀の釣り方の基本とコツ
初心者でも釣れる理由
海上釣り堀では、魚を空腹状態で放流するため、エサへの反応がとても良くなります。つまり「タイミングを逃さず合わせる」だけで、誰でも釣れる可能性があります。
釣り方の流れ
- エサを針にしっかり付ける
- 生け簀の中央へ仕掛けを落とす
- ウキが沈む、または竿先が引き込まれたら軽く竿を立てる
- ゆっくりリールを巻いて魚を寄せる
- タモ網でスタッフと協力して取り込む
魚を釣るための基本として、エサを魚が視認できる位置に届ける必要があります。この概念を「棚(たな)」と呼んでおり、対象魚が水深何mのところにいるからエサは何m沈めるべき━━の目安に使います。
釣れない人は棚の設定が悪かったりするので、初心者だったり初めて訪れる施設なら、まずスタッフにおすすめの棚を聞いたほうが手っ取り早いですね。
よく釣れるエサと魚
| 魚種 | おすすめのエサ | コツ |
|---|---|---|
| マダイ | ダンゴエサ、エビ | 朝イチが活性高い |
| ブリ・カンパチ | 活きアジ、切り身 | 放流後10分以内が勝負 |
| シマアジ | ササミ、オキアミ | 小さなアタリを逃さない |
マダイ・ブリ・シマアジを扱っている釣り堀は多く、海上釣堀ではメジャーな対象魚です。どれも美味しい魚ですし、引きも強力で人気が高いです。
安全面とマナー
- ライフジャケットは必ず着用
- 他の釣り人と距離を保つ
- ゴミは必ず持ち帰る
- 子どもから目を離さない
ライフジャケットは必ず着用
ほとんどの施設で「子供はライフジャケット着用義務」があります。レンタルも子供は無料な施設が多いですね。
大人は着けなくていいわけでなく、万が一の転落に備える目的でも着用したほうが安心です。
他の釣り人と距離を保つ
海上釣り堀は1つの生け簀に複数人が座ります。隣と近すぎるとラインが絡みやすいので、なるべく離れて釣りをしましょう。
青物がかかると走り回るため、絡み防止のためにもファイト中の人以外は仕掛けを上げるルール(マナー)があります。
ゴミは必ず持ち帰る
釣り糸やビニールは海の生態系に悪影響を与えます。些細なゴミでも海に落とさないように、切った糸だったり弁当やティッシュなどは、自分のバッグにまとめて入れておき、家に帰ったら捨てるようにしましょう。
子どもから目を離さない
足場は安全でも、興奮して走ると危険です。監視する名目もありますが、一緒に楽しむことを最優先するべきです。
初心者がよくある疑問
Q1. 釣れなかったらどうなる?
→ 「マダイ1匹保証」など、何も釣れなかった場合の補填制度があるならボウズ回避することができます。補填が無い施設もあるので、事前に確認しておきましょう。
Q2. 船酔いはする?
→ イケスは湾内に固定されており、ほとんど揺れません。船での移動も10〜20分程度です。もし車に酔いやすい体質など不安要素があるなら、酔い止めを用意しておくべきでしょう。
Q3. 服は汚れる?
→ 多少の水しぶきや魚のぬめりは避けられません。動きやすく洗える服装がベストです。
Q4. 女性1人でも参加できる?
→ スタッフ常駐でサポートしてくれる施設が多く、女性のソロ釣行も増えています。教えたがりおじさんも中にはいますが、適当にあしらいましょう。
海上釣り堀施設を選ぶポイント
- 地域性:三重・和歌山・九州南部など、海況の安定した地域が多い。
- 設備充実度:トイレ・休憩所・日よけがあるかを確認。
- 魚種の豊富さ:ブリやシマアジなど高級魚が放流される施設は満足度が高い。
- 料金体系:釣り放題制か匹数制かでコスパが変わる。
海上釣り堀がある場所は、基本的に「外洋に面して」かつ「内湾で波が穏やか」な地域にあります。例をあげると瀬戸内海や◯湾と名前がついている海域ですね。
関東以北は海上釣堀施設がほぼありません。理由としては、冬になるとブリやシマアジが生きれない水温になりやすいからです。冬の嵐も頻繁に来るため、営業が難しい背景もあります。
逆に関東以南には、海上釣堀が多くあります。特に三重県・関西・四国中国の瀬戸内海・九州に多くあります。当サイトは全国の海上釣り堀をデータでまとめているので、近くの県名で検索していただけたらすぐに調べることができます。
開始時間が夜明け直後と早いため、移動に車で1時間以上かかる場合は、現地近くで宿泊したほうが安心です。施設がある地域は風光明媚で観光地として名高い所もあるので、観光ついでに立ち寄る選択肢もアリですね。
成功のコツ
- 放流タイムは集中する
魚が活性化する時間帯。エサを素早く投入。 - エサをローテーション
魚が飽きないよう2〜3種類を使い分ける。 - 棚(タナ)を変える
アタリがなければ水深を少しずつ変えて探る。 - スタッフに積極的に質問
現地情報は最強のヒントです。
海上釣り堀は施設によって生け簀の深さが違います。そのため、対象魚を釣るための棚は全国統一が難しいので、まずはスタッフに釣り方のおすすめを聞くのが一番近道な方法ですね。
熟練の釣り師なら、自分で棚を探っていく楽しみもあります。攻略性も施設ごとで異なりますし、扱う魚も違うことがあります。もし全国を釣り歩くのであれば、各施設ごとにデータをとってみるのも面白いかもしれません。
【まとめ】海上釣り堀デビューの第一歩
海上釣り堀は、初心者でも「大物を釣る感動」を味わえる数少ない体験型レジャーです。 手ぶらでも参加でき、安全設備も整っているため、家族や友人との思い出づくりにも最適。
近年は自然の海で魚釣りも難しくなっており、管理されて魚が確実に居るとわかっている釣り堀は、魚釣りの楽しさを教えてくれる体験型施設といえます。
まずはレンタル竿で気軽にチャレンジし、釣り上げた魚を自分の手で持ち帰ってみましょう。その一匹が、きっと釣りという趣味の入口になるはずです。

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